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伝わる自分史の作り方(14)『家族との死別』

家族との死別イメージ画像

家族との死別・・なんとも重いテーマですが、ケース別に『伝わる自分史』にするための書き方を考えていきましょう。

 

大往生の場合

大往生とは普通に考えると、両親が天寿を全うして亡くなったケースです。自分史に書かれる際はお亡くなりになった時のことよりも、それまでに両親と過ごされてきた時のことの方が重要となるでしょう。最後の頃は介護が必要で自分が世話していた・・という方もいらっしゃると思います。特筆すべきことがなければ、こちらもあっさりと書けば大丈夫です。

 

例)元気なだけが取り柄の母親だったが、80歳の時に大腿骨を骨折し、それから介護が必要になった。自分の足で歩けないことがよほどこたえたのか、年々弱っていき、85歳の時に亡くなった。この間ずっと、私がトイレや入浴を介助していたので、正直ホッとした気持ちがなくもなかった。最後の方は本当に弱ってしまったが、今でも私の中に鮮明に残っているのは、いつでも笑顔でガハハハハと豪快に笑う母の姿だ。

 

最近のことは控えめに

比較的最近の出来事は、どうしても記憶が鮮明なので、大きな出来事としてとらえがちです。この場合だと「介護で苦労したことをあれこれと書いておきたい」と考えてしまうかもしれません。でも『伝わる自分史』という点では、あと何年かしたら良い思い出に変わるんだろうな・・と思えるぐらいの出来事は、少なめに書いておくぐらいがバランスで考えるとちょうど良いです。家族との死別に限りませんが、そのバランス感覚を持ちながら、自分史を作成していきましょう。

 

事故の場合

突然の別れが訪れるのが事故の場合です。今朝まで元気だったのに交通事故で亡くなってしまった。先の天災で亡くなってしまった。幾つかのケースがあると思います。これらのケースの場合は、心が落ち着くのを待ってから執筆を開始した方が良いと思います。

 

2年でも、3年でも、5年でも、10年でも待って、もう大丈夫だなと確信が持てるようになってから執筆を始めましょう。そうじゃないと・・思い出すツラさに耐えられない危険性があります。

 

完全に心の傷が癒えることはないかもしれません。でも時が経てば、ある程度は楽になり、その出来事を客観的にとらえられる時が来るでしょう。そうなってから、書き始めることをおすすめします。

 

病気の場合

こちらも心が落ち着くのも待ってから執筆した方が良いですが、事故で亡くなった場合と比べると比較的回復は早いようです。流行り病で突然亡くなった・・というケースを除いては、発症からお亡くなりになるまで、比較的時間があるのが病気の場合です。この間に、たくさんの気持ちを乗り越えている方が多いので、実際に亡くなってからの回復は、事故などで突然亡くなった場合と比べると、早い方が多いです。

 

書かれていること以外は伝わらない

あなたの自分史ですから、家族との死別の場合でも、どれぐらいのボリュームで書くのかはあなたの自由です。あえて感情を表に出さずに、あっさりと事実だけを書く方法もあるでしょう。でもここでは『伝わる自分史』の書き方をお伝えしています。「そんなものは書かなくたって分かるでしょう!」は通用しません。書かれていることが全てであるということを忘れないでください。直接的であれ間接的であれ、あなたがそのことでツラい気持ちを持ったならば、そのことを明記しなければ伝わりません。家族を病気で亡くしたことがあったみたいだけど、その時の気持ちはどこにも書かれていないので、誰にもわからない・・となってしまいます。

 

『伝わる自分史』を作るためには、家族が死んだら悲しいに決まっているでしょ!と考えてしまってはダメです。「書かれていることがすべてで、それ以外のことは伝わらない」と受け止めて、丁寧に書いていくことが大切です。