· 

伝わる自分史の作り方(6) 『引っ越しのこと』

引っ越しのことイメージ画像

6回目を迎えた『伝わる自分史の作り方』。今回は『引っ越しのこと』について、具体的な書き方を交えながら、お話していきます。

 

人生の節目と連動する引っ越し

なぜ自分史を作る上で「引っ越し」について記述することをおすすめするかというと、人生の節目と連動していることが多いからです。「小さい頃、父親の転勤があって引っ越した」「大学へ通うために上京して一人暮らしを始めた」「結婚することになって彼の住んでいるアパートで同棲を始めた」「家を建てたので引っ越した」「災害にあい、やむなく引っ越した」「高齢になり、これまで住んでいた一軒家を売り払い、交通などの利便性の良い場所へ引っ越した」などなど・・理由は様々ですが、このように大抵は人生の節目と連動している引っ越しが多いのではないでしょうか。逆に人生の節目とは関係ない引っ越しの例を考えてみると・・「気分を変えるために2年に1度は引っ越しをすることにしている」ぐらいしか思いつきませんでした。でもこれはこれで、その人のキャラクターが色濃く出ていると思うので、自分史を作るとしたら入れて欲しい内容だと思います。

 

引っ越しによって影響を受けたことを書く

そのほとんどが人生の節目と連動している「引っ越し」ですが、全部を書く必要はありません。例えば、父親の仕事の都合などで頻繁に引っ越しをしていた人の場合、それを一つずつ書いていると文章がくどくなるでしょう。ですので、「小学生の頃は、父親が転勤族だったので2年ごとに引っ越しを繰り返していた」ぐらいの記述で充分だと思います。一方で、その中で感じたこと、印象に残っていること、それによって形成された自分の人格などについては書いておきたいところです。

 

(例)その頃の私は、あえて友人を作らないようにしていた。せっかく仲良くなったのに、引っ越しのたびに別れを繰り返すことが嫌だったからである・・

 

「引っ越し」がその人にとって、重要な影響を与えていたことが分かるでしょう。人生の節目と連動していることが多い引っ越しですが、影響を受けたことを合わせて書くことで、書いたことの必然性が読者に伝わり、すんなりと受け入れてもらえる文章になります。

 

引っ越しのことを直接書く必要はない

引っ越しのことを直接書かなくても、充分にそのことが伝わる場合、書く必要はありません。例をあげると・・

 

[例]田舎暮らしにほとほと嫌気がさしていた私だったが、高校卒業後は念願だった東京の大学へ進学。実家を出て生まれて初めてのひとり暮らしを始めることに・・

 

引っ越した、なんて一言も書いていませんが、どう考えてもこの人は田舎にある実家を出て「引っ越しをして」東京でひとり暮らしを始めたことが分かるでしょう。このように、引っ越しをしたことが伝わる文章ならば、直接引っ越しのことを書かなくても大丈夫です。

 

記憶をたどるポイントとしての引っ越し

以前書いた『自分史のアウトラインをはじめに』のところで、まずは自分年表を作ることをおすすめしましたが、そこには単純に引っ越しの事実をありのままに書いた方が良いでしょう。そしてその後、自分年表を見ながら自分史を書く際には、前述したように引っ越しのことを省略したり、直接はそのことを書かなかったりしながら、伝わる自分史を意識しながら、書き進めていかれることをおすすめします。