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伝わる自分史の作り方(9) 『子供や孫のこと』

子供や孫のことイメージ画像

あなたの人生の中で子供やお孫さんとの関わり合いを考えた時、お孫さんはともかく(ともかくとしてしまった理由は後述します)、子供との関わり合いがあまり無かった・・という人は少数派だと思います。大半の人は、自分の子供に大きく影響を受けながら、あるいは、子供のことをいつも考えながら、過ごしてきた時期があると思います。

 

子供を主体に書かない

忘れて欲しく無いのは、ここでは、あなたの自分史を作っているということです。人生を振り返った時「子供がすべてでした」という人もいらっしゃるでしょう。でも、子供を主体に書いてしまうと、あなたの自分史ではなくなってしまいます。どのような影響を受け、どのようなことを思いながら生きてきたのか、あくまでもあなたが主体になって書くことが大切です。

 

(あなたを主体に書いた例)シングルマザーになった私は、3歳になった我が子を食べさせていくために、とにかく働くしか無かった。朝7時に保育園へ子供を送り届けると、そのまま勤め先である運送会社へ向かった。仕分けや事務の仕事をこなしながら、最初の頃は子供の顔がいつもどこかに浮かんでいたが、慣れてくると・・

 

(子供が主体になってしまった例)3歳の我が子はシングルマザーになった私に対して、当たり前かもしれないが変わらずに接してくれた。間も無く働き始めた私が朝7時に保育園へ送りに行くと、泣きそうな顔でこちらを見つめる。働くということをまだ理解できない我が子は、自分を置いてどこかへ行ってしまう母親を恨めしそうに見つめていた。保育園で遊んでいても、いつも母親の姿が頭の中に浮かんでいたのかも・・

 

感情移入するあまり、いつの間にか子供の目線で書き進めてしまう、というのはよくあることです。でも、子供の成長を書き留める目的でしたらなんの問題もありませんが、今はあなたの『自分史』を作っているところです。主体を自分に置くことを忘れないでください。

 

『自分年表』に書くべき事柄

自分史を作るにあたって、はじめの頃に書いた『自分史のアウトラインをはじめに』の中で、『自分年表』を書くことをおすすめさせていただきました。その中に書かれる子供やお孫さんに関することは、最低限に留めることをおすすめします。

 

昭和〇年〇月〇日 長男〇〇誕生

昭和〇年〇月〇日 長男〇〇結婚

平成〇年〇月〇日 長男〇〇と嫁〇〇の間に、初孫の〇〇が生まれる。

 

書くのはこれぐらいで良いと思います。もちろんその後の作業で、子供やお孫さんとの記憶に残るエピソードを書いていただくのは全然構いません。ただ、自分史づくりの骨格となる『自分年表』に子供やお孫さんのことを詳しく書き過ぎてしまうと、あなたの人生が見えにくくなってしまいます。ましてや、たくさんの子供に恵まれた人であれば、なおさらのことです。

 

孫のことは控えめに

お孫さんの存在があなたの人生に大きな影響を与えるケースは、どちらかというと少ないのではないでしょうか。お孫さんがあなたの人生に大きな影響を与えるケースとしては「子供たち夫婦が不慮の事故で亡くなってしまい、孫を自分の子供のように育てた」「子供たち夫婦が転勤で海外へ行ってしまい、その間あずかっていた」「子供たち夫婦が共働きで忙しく、親代りだった」「最愛の伴侶を亡くした時、親身になって慰めてくれたのが孫だった」といった具合でしょうか。

 

ほかは「ただただ孫が可愛くて仕方がない」という人が大半でしょう。自分史を作る時期がちょうどこの時期と重なると、あなたの心の中に占めるお孫さんの割合が非常に大きい時期に自分史づくりをすることになります。そのため、ついついお孫さんのことを多く書いてしまう方が少なからずいらっしゃいます。これは、あなたの長い人生の中で考えると、ちょっとバランスの悪い書き方になってしまいます。『伝わる自分史』を作りたい、ということを前提にして言えば、そのあたりのバランスも頭に入れて書き進めて欲しいところです。