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伝わる自分史の作り方(12) 『戦争のこと』

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自分史を作りたい、という人のお話を聞く機会が多い私ですが、「戦争」に関わるお話を聞かせていただく機会はしばしばあります。考えてみれば終戦が1945年(昭和20年)の時ですから、終戦の年に生まれた人でも現在(2021年3月)は76歳ぐらい。「覚えているよ」という人の話でもまだ小さかった頃の思い出としてしか聞いたことがありません。話の内容で言うと、家族と一緒に戦地に赴任して、命からがら帰ってきたという話は聞いたことがありますが、兵隊として戦地に赴いていたという人の話は、私は残念ながら聞いたことがないです。

 

貴重になりつつある戦争の話

戦争体験者の方はこれからもどんどんご高齢になっていくわけですから、戦争の話を聞く機会はどんどん少なくなっていくことでしょう。そう考えると、自分史を作りたいと考えている方の中で戦争を体験したことがある人は、ぜひその時の記憶を残しておいてほしいです。『伝わる自分史の作り方』がテーマですが、伝えるための表現云々(うんぬん)という以前の話です。ちょっときつい言い方になりますが、伝えてほしい実体験がそこにあるということを自覚してほしいのです。2021年に生きる私たちが今後の生き方を模索する中で、当時の戦争の記憶から得られる教訓というのは間違いなくあると私は信じています。

 

ですので、もし周りに戦争の記憶をお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひお話を聞いていて欲しいと思うのです。話を聞いた人の自分史を作るような気持ちで、ぜひお願いします。自分の手にはあまるが、ぜひこの人の自分史を作って欲しいという人がいらっしゃれば、ご相談いただいても構いません。私がライフワークとして行っている『親物語』という自分史作成サービスもあるので、よろしかったら参考にしてみてください。

風化しない記憶

戦争の話は、少なくとも今から76年以上前の話です。私が今まで聞いてきた戦争の話は、そのほとんどが昨日のことのように生々しく、風化しないものでした。それだけ強烈な記憶だったのだと思います。風化しない記憶というのは、美化されたり歪曲されることなく、そのままの姿でそこに止まっている可能性が高いと私は思っています。ですので、自分史の中に戦争の話を入れようとする人は、ありのままの記憶をそこに残せばいいのかなと・・

 

地名や年代は間違いやすいので・・

ただ、人間ですので単純な記憶違いはあります。地名や年代は記憶違いしやすいので(実際にそういう方は何人もいらっしゃいました)、できればちょっと調べていただいて、間違いがないかどうかを確かめてください。ひと昔前なら、この「調べる」という作業は大仕事でしたが、今時はたいていのことはネットで調べられます。大いに活用して、精度の高い自分史を作ってくださいね。